真実の声を奪われたまま

私の好きな人たちの話

田口くん脱退報告から一夜明けて


ベストアーティスト。自担の曲には間に合わず帰宅。リアタイ勢ではない私は、明日の録画再生を楽しみにしていた。

携帯片手に、ジャニーズが出て来れば画面を見て、という単純なオタクの姿だった。
真っ赤なコートで登場したKAT-TUN。ニコリともしないKAT-TUN。すぐにCMになり、母と共に「コートださーい。なんでその赤色?」とか笑いあっていた。そして、なんの前触れもなく、別れの告知は突然やってきた。

総合司会の櫻井翔くんが田口くんに話をふる。真剣な顔の田口くん。私は「結婚かな?」と思った。予てから彼女と同棲し、交際否定もしない彼のことだ。30歳にもなるし、ジャニーズ界の結婚適齢期としては早いが、一般人で交際8年と考えれば普通だ。いや、彼女の方が年上だと考えれば遅いぐらいだ。だが、淡い期待は一瞬にして粉々になった。彼の口から聞こえた言葉は、全く幸せな報告ではなかった。

「僕 田口淳之介は来年の春をもちまして、KAT-TUNをはなれ「は?」ジャニーズ事務所を退所することとなりま「え?なんで?は?」自分自身30歳を目前にしてこれからの人生の歩み方を考えた上で……


……………もう、このあたりは涙ボロボロで、なんで?どうして?を繰り返すしかなかった。DoAなんて聞けるわけがない。

何度も失って 真実の声奪われたまま 現在(いま)受け止める MY LIFE'S SECRET 挑んだGAMEはリセットできない 背負う闇も連れて

出だしの音を大きく外す亀梨くん。笑顔のない上田くん。逆にいつもより声を張る中丸くん。
無理をしているのがバレバレな3人と、いつも通りの爽やかニコニコアイドル田口くん。それは4人のKAT-TUNではなく、完全に3+1のKAT-TUNだった。私は泣きながら4人を見た。見なきゃいけないと思った。あと何回4人のKAT-TUNが見れるのだろう。




正直私はリアルタイムで6人のKAT-TUNを見ていない。赤西脱退のニュースでKAT-TUNに興味を持ち、上田くんを見つけ、一時は上田担を名乗り、ハイフンを名乗った。2年間、5人のKAT-TUNは見てきた。初めてのKAT-TUNのコンサートは5人だった。嵐から降りた私は、メンバー脱退に免疫が無かったが、田中聖の脱退は悲しむことも怒ることもできた。素行に問題があり、事務所解雇の理解ができたし、納得することができたのだ。あれから2年。偶数になったことにより、センターがなくなり、良い意味で棘がなく、脱退もネタとして扱えるほど、4人で固まってきた。4人のコンサートにも行った。これからはずっと4人なんだ。4人についていこう と思えた。
2年前には残された側にいた田口くんが次は去る側になっている。彼は残された側の気持ちも痛いほどわかるはずだ。そして、去った赤西と田中がどれだけ多くのものを失ったかも知ってるはずだ。
「簡単に3人を捨てるな」とか「KAT-TUNの10周年より自分の30周年を選んだ」とか戯言しかツイートできない無能なファンがいるのが悲しい。自担に置き換えて"〇〇くんが脱退したら生きていけない"とか言ってる奴らを見るのも腹がたつ。今、田口を真剣に応援している人たちは、本当に生きていけない状況に置かれているのに。こんな重大なことを、事務所も、メンバーも、なにより彼自身が簡単に決めるわけがない。そして、田口くんも人間だ。ファンと同じ1人の人間だ。自分の人生を選んで当たり前だ。きっと、たくさんたくさん悩んで出した、最良の結論なのだ。悪者はどこにもいない。田口くんを責めるのは間違っていると思う。ただ、個人の願いとしては、KAT-TUNをやめないでほしかった。3人を残して去らないでほしかった。それだけだ。

予定されていた春コンはwebから消されている。きっと次にファンの前に現れるのは3人なのだろう。果たして、いつになるのだろうか。その日は来るのだろうか。



デビューさえすれば安心だと、私はいつ、どこで錯覚したのだろうか。再契約を行わないことで双方合意。再契約をしなければ簡単に去ることができるのだ。終身雇用などという安定が、芸能界に存在するはずがない。

亀梨、中丸、上田のメッセージで、これからもKAT-TUNでいるという意思が確認できたのは上田くんだけだった。私は再再再スタートができる日が来ることを願うしかできない。
どうか、KAT-TUNを解散させないで。事務所が考える最良の方法が解散という選択になりませんように。